THE CIRCUS! EP2考察

オリジナルミュージカル「THE CIRCUS! / ザ・サーカス!-エピソード2 Separation-」 (以下CIRCUSとのみ表記)が、7月13日福岡公演を以て幕を閉じた。わたしはエピソード0も1も観ていない新参者ではあったが、ありがたくも今回数公演の観劇が叶い、非常に楽しい時間を過ごすことができた。本来であればここで役者陣の魅力・見どころを思う存分に語っていきたいのだが、今回は敢えて演技よりも演出とストーリーに着目してみたいと思う。あくまでも素人目線での考察になるが、……すこし文章が堅すぎるかもしれない。

 

1. 

終演している作品なので、思い切りネタバレもネタバレ、エンディングから書くが、「絶対に次回作があるんだろうな」と思わせる台詞と大道具(To be continuedとボードに書いてあった)で幕は閉じた。前作がどうだったのかは分からないが、これは果たしていいのだろうか?「いいのだろうか?」などと書きつつも、個人的にはEP3(4作目)を心待ちにしている身なので、「いいのだろうか?笑」くらいであるのが本音ではあるけれども。

基本的にわたしは、舞台作品に「一回で理解のできるものであること・完結しているものであること」を求めている。わたしが何らかの知識不足により理解できない(安土桃山時代の芸能諸文化に疎い、など)というのなら問題ないのだが、そうではなく物語のストーリーを観劇中に追えなくなってしまうようなものは困るということだ。せっかく高いお金を払って観に行くのに、観劇後に「話が面白くなかった」となるのはできるだけ避けたい。そして後者だが、続きの話を観客が妄想することはできても(ミカエルはどの時代で生きて行くのだろう、など)、「新たな別ストーリーがないと今観たものが物語として片付かない」のならそれは嫌だという話である。今回のCIRCUSは、途中まではEP2の話として大きな問題はなかったのだが、それがEP2内で片付かなかった。

わたし自身、シリーズ物の舞台鑑賞が初めてだったから戸惑うのかもしれないが、これで次回作(EP3)が上演されなかった場合(それが「書けなかった」場合が最も非難を受け得る)、観客に対しても演者に対しても些か失礼なのではないかと思った。

千穐楽にて、企画・構成のご担当者様が「みなさんの声があれば」のようなことを話していた。もちろんそれは単なるポーズであり、水面下では動き出している乃至動き出そうとしているのであると願いたいが、あまりにも演者たちが「次回作があればそのときはまたお芝居をしたい」などと言うものだから(彼らを責めるわけではない)、こちらとしてはもう「来年やります!」くらい言われるかと期待してしまった。

 

いくつかの伏線を回収してスッキリする作品が待っているものと、大いなる希望を元に、明らかにしてほしい事項を以下に書き連ねる。

・ベンのいう「ケントへの再教育」とは、洗脳(あるいは非能力者が蔓延る世界で受けた盲信を解くための施術)をするだけなのか。そしてそれは解かれるのか。すなわち、この物語の最終的な着地としてオメガ(そしてモールラッツ)はどのようになるのが、THE CIRCUS!という舞台における正解として描かれるのか。

・なぜザ・サーカスは国防総省管轄となったのか。

・ジョンソンが電話をしていた相手は大統領と、ほか誰だったのか。大統領と直接話せるということはジョンソンの地位は高いと思われるが(局長)、ジョンソンは撃たれていたし、次は誰がザ・サーカスの上司となるのか。

・フランクはどうなるのか。なぜフランクは事前撮影での通信(動画)において「モニカ」と呼んだのか。

・なぜザ・サーカスは選別されることになったのか。またその選ばれしエージェントは誰なのか。

☆予想ではブルーノとモニカ(モニカは生き返るということはさすがにないかな……)。もしくは、ブルーノとサラ?いずれにしてもコアを浴びていないカルロスは選ばれないと思う。

・エレリンことエレーナは正体をいつ明かすのか。もしくはバレるのか。そしてサーシャの目的と役割は。

・ナディアはまたオメガ(というよりベン)の元へゆくことはあるのだろうか。ベンが能力者を集めたいとなるとナディアを野放しにはしない気がするが、また洗脳するのか。

・ウィラードはハワイから戻ってこれるのか。

・ウィラードはケントに嫉妬しないのか。

・コアはキャベツなのか。

 

2.

構成について。ミュージカルが苦手な人が理由によく挙げがちの「いきなり歌い出す」改め、「いきなり踊り出す」舞台だった。もちろん歌が始まり、踊りがあり(ないときもある)……が基本であるのだが、2幕冒頭のベンとケントとウィラードのスペシャルダンシングショーとでもいうべき時間が一番わかりやすいと思うので例にあげる。幕間が終わり、さてCIRCUSの続きはどこからだっけなよいしょっと、と思った途端になんだかダンスショーが始まる。魅せ場としては素敵すぎる時間だし、ケントがベンと再会できて嬉しい(ベンも嬉しい)からこそ踊るのだろうし、ここからはベンの右腕はウィラードではなく馴染みの仲間であるケントであることを予めこちらに印象づけるという役割もあったのだろうが、構成が斬新で驚いた。

また、ストーリーの流れと逆行するが「フリートーク(by ベンとウィラードとナディア)」は賛否両論あると思われる。ここは上記以上にストーリーから逸脱して、単に役者が彼ら自身としての話をするいわば座談会だからだ(立っているけれど)。ここのアドリブ感とでもいうのか、日々異なるトーク内容を楽しみにしてしまうのはわたしもそうであるため本心ではあまり否定したくはないが、演出としては何の効果を狙ったのかよく分からなかったのも事実である。その一公演は観客にとって最初で最後の一公演かもしれない。演技等のレベルアップではなく、アドリブによる内容の(大きな)変化は、複数回観劇可能者だけに優しい……というのは言い過ぎなのだろうか。

 

EP3が上演されるなら、そのときはそれが観劇後にもっと爽快感を(たとえストーリーの結末がバッドエンドであっても)味わえるような、それが演者の演技(歌や踊りを含む)によるものである以上の脚本及び演出であってほしい。あれこれ申し述べたがそれでもやはりCIRCUSは「あーー!見どころたくさんでかっこよかった!おもしろかった!」と思った舞台であったことに間違いはないので、来春なのか来夏なのか分からないが、とにかくEP2から得られたものが生きた次回作となることを期待している。あと、サントラもぜひお願いします。おわり